大変お待たせしてしまい申し訳有りません!
昨年末(2012/12/31)に公開した「時の世界と創造主」の作品解説になります。
説明不足だったストーリーの説明と、忍ばせておいた裏設定の解説をしています。
是非! お楽しみ下さいまし!
■お知らせ
今回、この作品を公開することで本格始動した
「Story1 糸と時で編まれた世界」(通称:トケイトウシリーズ)なのですが……。
既に公開している「トケイトウ」や「else」を作った当時の設定と
今思い描いている設定とが、かなりかけ離れたものになってしまいました。
なので、その二作を「旧作」扱いとし、
Flashページからのリンクを簡易的なものに変更することに致しました。
一応設定を受け継いでいたりもしますが、
それら二作とこれから展開していく物語は、別物であるという認識でよろしくお願い致します!
以下、作品解説です!
■ストーリー解説
どこまでも続く真っ白な世界。
生まれたてであるはずのその世界には、
なぜか時を刻む音のみが鳴り響いていました。
その世界に「創造主」である少女が降り立つところから物語は始まります。
彼女は時の音が鳴り響く世界に疑問を抱き、「この音は何、うるさいわね」とぼやきます。
そこに「うるさいだなんてひどいなあ」と返事を返す者が居ました。
自分一人しかこの世界には存在しないと思い込んでいた彼女は、
予想外の出来事に驚き、声の主に「誰?」と問いかけます。
そして、彼が「時」そのものであること、
彼が存在することによってこの時の音が鳴り響いていることが知らされます。
そこで彼女は、彼に「時計塔」という名の器を与え、
時の音を鳴り止ませることにしました。
「やることがあるから」と彼女は言い、
絵筆を持ち、空にパズルのピースを浮かび上がらせます。
「やること終わったら帰るわよ」という言葉も残して。
「創造主」は、絵筆を用いて世界を描き上げていきました。
空を、大地を、草木を、小川を。
移ろいゆく時の中、「時」はその様子を眺め続けていました。
空に浮かぶパズルのピースが、埋まってゆきます。
ある月夜、「時」は「創造主」に名前を考えたのだと語りかけます。
その名は「ミナモ」。全ての源であり、光り輝く水面のように綺麗だからです。
ミナモはお返しとして、「時」に「トキネ」という名を与えます。
「時の音がうるさかったからだ」との弁ですが、
言葉とは裏腹に彼女の頬は赤く染まっていました。
ミナモは、絵筆で世界を彩ってゆきます。
空を飛ぶ鳥を。川を泳ぐ魚を。温かい光に包まれる町を。
トキネは、彼女が世界を描いてゆく姿に見とれていました。
雨の降る月夜、ミナモは空を見上げ「おかしいわね」と呟きます。
空には、1つだけ、開いたピースが残っていました。
そんなミナモに、トキネは「人間の体が欲しい」と語りかけます。
トキネの言葉に、ミナモは何かに気付いたような表情をしたのち、彼に人間の体を与えました。
「ごめんね」という言葉を残して……。
トキネが人間の体を手に入れ目を開けると、そこにミナモの姿はありませんでした。
必死にミナモの名を呼ぶトキネ。しかし、返事は帰って来ません。
そういえば、彼女はこう言っていました。「やること終わったら帰るわよ」と……。
膝から崩れ落ちたトキネは、地面に一本の杖が落ちているのを見つけます。
トキネはその杖を拾い上げ、祈りを捧げるような動作をして――
トキネは、杖を使って時を巻き戻しました。
ミナモと過ごした時を、永遠に繰り返すために。
彼に、「新たな時を紡ぐ」という選択肢は、見えていませんでした。
――何度目のループでしょうか。場面は、ミナモが居なくなった直後に移り変わります。
トキネが慣れた手付きで杖を手にしようとした時、何かに気付きます。
杖の先のほうに、何かが結び付けられていました。
結び付けられた「何か」を広げ、トキネは涙を流します。
そして、彼は決意にも見えるような表情で空を仰ぎました――
■反省会
この作品は、これから展開していくシリーズの始点に当たるお話になっています。
トキネがこれからも永遠に時を巻き戻し続けるのか、
それとも、前に進む決断をするのか……次回作以降で描いていくことになると思います。
作中で伝えたかったストーリーは上で書いた通りだったのですが、
少しわかりづらい、描写が甘いといったご指摘をいくつか頂きました。
世界創造シーンが写真集的になってしまったことを
「可愛い女の子が描きたかったからだろうか」と推測してくださった方もいらっしゃったのですが、
実は、時間配分を間違えて急いで作ったからという大変残念な理由でございます……。
ストーリーがわかりづらい理由はひとえに自分の表現力不足にあると思います。
今作を作ってみて、ひたすらインプットもアウトプットも足りないことを自覚させられたので、
いろいろとアニメを見てみたり、手書きMAD等を作ってみたりしてみようと思っております。
目標は、今回のように作中のストーリーをまるごと文章に書き起こさずに済むようになること、
手抜きをせず全力で作品を作って発表できるようになることです。
精進いたします。
以下は、こっそりと潜ませておいた裏設定となっております。
是非お楽しみくださいませ!
■「名前をつける」という行為
中盤のシーンで、トキネはミナモに名前を付けようとします。
一見、なんてこと無いただのスキンシップのように見えますが、
実はこの行為にもちょっとした意味があったりします。
「名前」というものには、大きな意味があります。
少しだけ難しい話になってしまうのですが……。
名前があるからこそ、私たちは物や人を言葉で言い表し、認識することができます。
自分が自分であることを証明する手段の一つが、「名前」というものなのです。
名前を付け合う前の二人は、ただの「創造主」と「時」でしかありませんでした。
ただ世界を作り上げるだけの存在。ただ時を刻み続けるだけの存在。
どちらとも「世界創造に必要なパーツ」としての役割しか持っていませんでした。
二人がもし出会わなければ、それ以上の意味を持つことはなかったでしょう。
しかし二人は出会い、心を通わせ合うことによって、
今まで持っていた「役割」以上の、「個」としての意味を持つことになります。
それを象徴付けるのが、この「名前をつける」という行為なのでした。
■ミナモの決断
空に1つだけピースが開いていて、ミナモが疑問に思うシーンがありました。
ミナモが世界を作り始める時に浮かび上がらせたピースは、
完成に近づくたび1つ1つ埋まってゆき、
世界を全て作り終えた時に、全てのピースが埋まります。
しかし、世界を完成させたはずなのに、ピースが1つ余っていることから、
ミナモは「何か」がこの世界に足りないことに気付きました。
しかし、その「何か」がなんなのかわからないが故に、
ミナモは疑問に思い、空を眺めていたのです。
(ここが説明不足だったなと反省しています……。)
そこで、トキネが「人間の体がほしい」と語りかけます。
最初はトキネの発言の意味を理解できていなかったミナモですが、
その言葉から、ミナモに対して特別な感情を抱いていることに気付きます。
足りないピースの1つが、トキネの人間としての体だということにも。
冒頭シーンで「やること終わったら帰るわよ」と告げた通り、
世界を完成させてしまったら、ミナモは帰らなければならない定めとなっています。
人間の体を手に入れて、ミナモと過ごすことが、トキネの願いです。
しかし、ミナモがトキネに人間の体を与えてしまえば、
世界は完成したことになり、ミナモは帰らなければなりません。
ミナモは悩みますが、すぐに決意しました。
「自分が居なくなってしまえば、トキネは嘆き悲しむであるだろう」ということを理解した上で、です。
彼女は一本の杖とそれに括られた手紙、
そして「ごめんね」という言葉を残して、この世界を去ってゆきました……。
■最後のピース
先程、「足りないピースの1つはトキネの人間としての体」という話をしました。
なぜ、世界の完成にトキネの体が必要だったのでしょう?
理由は2つあるのですが、そのうちの1つは、遠い先に明かされることになるでしょう。
今回は、残るもう1つの理由についてお話したいと思います。
単刀直入に言ってしまうと、「名前をつけてしまったから」です。
「個」を持ってしまい、普通の人間と同じような「感情」、
もっと言ってしまうとミナモに対して「恋心」を抱いてしまった、
「トキネ」という名を与えられた存在。
それは、ミナモが作り与えた「時計塔」という器に入り
「物」として生きてゆくには、とても難しいものになってしまいました。
何を以って「世界が完成した」と判断されるのかということも、今の段階ではまだ話せないのですが……。
「トキネが物のままではいけない」と、「何か」が判断したわけですね。
人間であってもいいくらいの要素を持ってしまったトキネが物の姿で存在し続けると、
どこかに綻びが出てしまうのではないか……という危惧があったのかもしれません。
これ以上突っ込んでしまうともう1つの理由について語ることになってしまいますので、
残る謎はこれからのお楽しみに……ということで><
■タイトル・リプレイ・おまけ画面
Flash版にのみ付いているタイトルとリプレイ画面なのですが
(この2つはニコニコ版にも乗っけておけばよかったかな……と今更ながら思っていたり)、
実は対の関係になっていたりします!
タイトル(ミナモ) | リプレイ(トキネ) | |
背景 | 世界創造前 | 世界創造後 |
背景の傾き | 右下がり | 右上がり |
人物の位置 | 右側 | 左側 |
人物の向き | 横向き | 正面 |
手の向き | 下 | 上 |
といった具合です! 気づいていた方は……いらっしゃったんでしょうかね?
それと、リプレイ画面のトキネの手の平にあるパズルのピースで、
「最後のピースがトキネ自身だった」ということを密かに表現していた……
つもり……つもりでした……つもり……(´Д⊂ヽ
そして毎回恒例おまけ。
今回は前作ほど凝ったおまけは用意出来ませんでした……
単純に、リプレイ画面で右クリック→「再生」で見ることができます。
内容は、ミナモが書いた手紙の中身です。
短いたった一言のメッセージなのですが、
きっと彼女は沢山の思いを込めて、あの一文を書いたのだと思います。
手紙の中身を本編で語るかおまけで明かすか、最後までずーっと悩んでいたのですが、
本編で流したらちょっと説明くさいかな? と思ったのでおまけに回してしまいました。
素直に本編に回しておけばよかったかな……と思っています。
■花言葉
ロゴや名前を付ける場面冒頭でちらっと出てくる花は「スミレ」です。
ミナモのイメージフラワーを何か一つ作ろうと思い、
ぴったりだったのがこのスミレの花でした。
花言葉は「小さな愛」「小さな幸せ」。
ツンツンしながらも、ミナモにとってトキネと過ごす時間は幸せだったのです。
ちなみに「ごめんね」のシーンで飛んでいるのは「シラン(紫蘭)」の花びら。
花言葉は「あなたを忘れない」「お互い忘れないように」「変わらぬ愛」。
ミナモの心の中に秘められた思いが、この花言葉に現れています。
■作品同士の共通モチーフ
世界を描く「絵筆」や「絵本」のページを……という表現。
前作「ぼくのみたせかい」をご覧になった方で、
「お?」と思われた人もいらっしゃったかもしれませんね。
気づいている方もいらっしゃるかとは思いますが、わざとです!
ニコもミナモも、「絵筆を用いて世界を描く」のは一緒なのですが、微妙に立場が違うんですよね。
ニコはあくまで「壁に自分の思い描く世界を描いている」だけなのですが、
ミナモは実際に空白の世界へ足を運び、内側から世界を描き上げています。
また、トキネが時を巻き戻すことを「絵本のページをめくる」と表現しました。
ニコは、「絵本を見て」世界を知ります。
この「立場の違い」……これからキーになってくる、かも?
■今後について
恐らく次のオリジナル作品は、「トケイトウ」のリメイクになると思います。
ですが、かなりの長編になりそうなこと、4月からまた環境が変わること、
そして前述した通りインプット・アウトプットが足りなさすぎることにより、
かなり先の話になるかと思います。気長にお待ちいただけると嬉しいです。
手書きMADにも挑戦してみたいな……と思っているので、
もしかしたらトケイトウの制作に着手するまでにいくつか作っているかもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
あっあとミナモちゃんとトキネくんのイラストください(乞食)
Leave your Comment